みんなの日記帳

問わず語り2  No.367
大学の寮に入り、入学式、セミナーハウスでの2泊3日のオリエンテーションなどを経て、学生生活が始まった。
1年生は必修科目が多いので、自由に選べる講義は少ない。それでも第2外国語をなににするとか、体育実技はどれが楽しそうか、自分なりにカリキュラムを組み、履修届として提出しなければならない。あらっ、この曜日は1コマ目と5コマ目だけか。空いた時間はどうしようなどと履修届を書き終え、明日がその提出日。であった
夕食を食べた後、隣の隣の部屋、つまり南寮下2号の藤原君が酒を飲んでみたいというので同じ部屋の八巻君と3人でカドの酒屋に酒を買いに行った。そこで八巻君が選んだのは灘の銘酒「剣菱」日本で一番歴史のある酒蔵が作る伝統の酒である。
お金もないし、ご飯を食べた後ということもあり、つまみはなにもない。一升瓶が1本あるだけだ。それを2号室のちゃぶ台の上に置き3人で飲み始める。しかし、その酒を選んだ八巻君はちょっとなめただけで、跡は手をつけない。それに対して藤原君は茶碗につがれた剣菱を一口のみ、「うまい」と一言。後はぐいぐいと飲み干したではないか。
この藤原君は岩手県の出身、岩手県で姓が「藤原」なのだからさぞかし由緒ある家系の生まれなのだろう。盛岡市で二番目に偏差値の高い高校からこの青葉茂れる大学の文学部英文科に入学したのだ。
うちの学生のほとんどがそうだろうが、みんなここが第一志望の大学ではない。好き好んで地方2流私立大学に入るものなどいない。なにかしら妥協し、屈折した気持ちを持って入学している。ましてやなにが悲しくてこんなおんぼろ学生寮に住むものか。全員それぞれの事情を抱えているのだ。後でしった話だが、藤原君も親に授業料は払ってもらっているものの生活費は全部自分のアルバイトで稼いでいた。
今はリーゼントに決めた頭の藤原君も、真面目な高校生活を送っていたようで、アルコールを口にするのは初めてだという。その藤原君が茶碗酒を一気に開けたのだから高校時代から時々酒を飲んでいたオイラが負けるわけには行かない、グビグビとあおってしまったのだ。
酒が入れば口も軽くなる。3人の話は日本国や世界の未来をどう切り開くのか〜陰金田虫に対する不安までとりとめもない。飲み始めて二時間もしない頃、とっくに一升瓶はからになっていた。
藤原君と同じ文学部でも歯学部の八巻君は、おしゃれで垢抜けしており、オボチャマタイプだが、寮にいるのだからいるだけの理由があるのだろうが、。彼はとんど飲んでいないので、藤原君とオイラの18歳二人で一升の酒を飲んだことになる。そこで藤原君が言い出した。「腹が減った」 孟子にゃと言っていい時間だ。仙台にも早々期のコンビニは存在したが、駅裏のお墓ばかりの近くにはそんなものはない。思い浮かんだのは、歩いて5分くらいの仙石線、つつじヶ丘駅前の小さな焦点に置かれたカップヌードルの自動販売機。お湯も入れられて120円。藤原君とおいらは小銭を握りしめるんるんと出かけ、その場でカップヌードルをすすったのだ。満足、満足。しかし、悲劇はここからだった。

くじらベーコン
2018/02/13

No. PASS


**HOME**
[TOP]
shiromuku(e3)DIARY version 1.20