みんなの日記帳

問わず語り5  No.370
前にも書いたが、大学1年生は必修科目が多い。中でも絶対に避けられないのが外国語だ。我が大学の経済学部では第一外国語が英語と決まっており、第2外国語はドイツ語とフランス語から選ぶのであった。もしかするともう一つくらい選択肢はあったかもしれないが、選んでいたのはごく少数であったろう。文学部の人などはフランス語を選択する人も多かったが、経済学部の大半の人はドイツ語を選択していた。それは経済学の原書がドイツ語で書かれているなどとは関係がなく、単にフランス語に比べ発音が簡単だと言うことに起因していたのだと思う。中学高校と6年間勉強してきた英語がわからないのである。週一コマ一年間の第2外国語がわかるようにはどうしたって思えない。ドイツ語はグループ(高校までのクラスのようなもの)ごとに担当の先生が決まっていた。おいらの8グループは少し年配の中野先生だ。先輩方からの言い伝えによるとキリスト教の大学にもかかわらず「仏野中野」とよばれているらしい。ABC(あー べー ツェー)から丁寧におしえてくれる。が、おいらがドイツ語など覚えられるはずがなく、グーテン モルゲン やら イッヒ ドリンケン ビール などという文節を覚えただけだった。ちなみにドイツの自動車メーカーBMWを知ったかぶりして「ベーエムベー」などという人がいるがBとWの発音が同じで笑ってしまう。人のことは言えないけどね。
そうそう、中野先生。いくら仏野中野先生でも前期、後期の試験は行うわけです。前期の試験はまさにあー べー つぇー 程度だったのでなんとか乗り切ったたが、後期試験はどうしても乗り切れそうもない。しかし、外国語は必修単位、取らなければ絶対に卒業はできない。そこで大カンニング作戦を実行。試験の前夜、苦労してカンニングペーパーを作成し、試験会場に持ち込んだのでありました。テスト用紙が配られ中身を見るとしめしめ、ほとんどカンニングペーパーに書き込んでおいたこと。先生の様子をうかがいながらいそいそとカンニングペーパーを出そうとするが、見つからない。筆箱の中、ポッケも鞄も探ってみるがどこにもないのだ。試験が始まる前には確かにあった。どこにあるう。焦りまくっていると中野先生が後ろからやってきて、おいらの席の下から紙を拾って黙って机の上に置いた。それがかのカンニングペーパーだったのだ。
その時は恐怖に震えた。カンニングがばれれば「下記のもの試験における不正行為により、全科目0点とし、1ヶ月間の停学処分とする。学生証番号*******」と掲示板にさらされる。名前は載らないものの学生証番号により何学部の何年生の何グループのあの辺の人とみんなにわかってしまう。その掲示板を見て「あらら、この人4年生なのに卒業できなくなってしまったな」などと人ごととしてオイラも見ていたものだ。それが自分の身の上に来る。終わったなと思ったのだが、中野先生は何事もなかったように前の方に歩いて行く。「んっ、気づかなかったのか。まさか、ここにはこんなにはっきりと試験の答えが書いてある」 しばし呆然としたが、時間は限られている。高鳴る動機を押さえながらペーパーの答えをテスト用紙に移していったのであった。
答えを書き終え、テストの時間が終わってもドキドキは止まらない。不正行為については教授である中野先生は直接関わらず、教務課あるいは学生課あたりから後日呼び出しがあるのかもしれない。そこでとてもきつい取り調べ、不安でいっぱいだったが、その後は何も起こらない。結局のところこの単位を取得でき、オイラのドイツ語の成績は「良」として記録されている。
それにしても中野先生は本当に築いていなかったのだろうか。そんなことはあり得ない。恩情なのか、経済学部の教養のドイツ語など問題にするのも面倒だと思ったのか、それはわからない。でも、おかげでオイラは1年を棒に振らずにすんだ。中野先生様々であり、仏様に間違いはない。
中学、高校とカンニングペーーパー作りは趣味のようにおこなってきた。筆箱の底に貼り付けたり、消しゴムを割って挟み込んだり、試験前に妄想を膨らましながら勉強もせず、ペーパーを作ってきた。しかし、未だかつてそれを使用したことはなかったのだ。それが初めて使用したカンニングペーパーにはナンの工夫もなく、それがバレバレ。恩情で最悪の事態は起きなかったが、
れに懲りてオイラは二度とカンニングなどはしなくなった。それもあってか2年生の終わりの取得単位数が少なく、日本育英会から「激励」という文書が来て、学生課に呼び出されることになるのだが、これはマタ別の話だ。


くじらベーコン
2018/03/03

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